成年後見

 最近、以前より耳にすることが多くなった「成年後見」とはどういう制度でしょうか。認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理する必要があっても、自分でするのが難しい場合があります。判断能力が不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

 

 では、預貯金等をご自分で管理するのが難しかったり、判断することができず悪徳商法の被害に遭う恐れのある方は、この成年後見制度を利用されているのでしょうか?令和2年の時点で、成年後見制度を利用されている方は約23万人いらっしゃいましたが、それに対して、国がこの制度を利用する必要があるとして推定する人数は約1000万人です。法律が想定している数と比べて実際の利用者数は3%に満たないのです。なぜこのような状況になっているのでしょうか。

(1)成年後見制度を利用しなくても不自由しないことが多いという現状があること。

 高齢の方が施設に入所されて、施設への費用を支払う場合、ご本人の銀行口座から預金を引き出す必要があるかもしれません。親族がご本人のキャッシュカードを使って銀行のATMでお金を引き出したり、キャッシュカードがなくても印鑑と通帳を用いて、銀行の窓口で引き出しをすることができることもあります。何も不自由しないので、成年後見制度を利用する必要性を感じないまま親族が代わって様々な手続を行っていることが多いのが現状です。

(2)成年後見制度に伴う負担が大きく思えること。

 成年後見の申立をするまで、認知症の親のための預金口座等の財産管理を子の一人が行うことがあります。そして、必要に迫られて成年後見の申立をした後、自分が後見人になれると思っていたのに、弁護士、司法書士などの法律専門職が後見人となり、すべての財産を引渡すことになることがあります。親の財産を他人に引き渡すことに、多かれ少なかれ抵抗を感じるのは自然なことです。また、親族が後見人となることができても法律専門職が監督人となり、その監督人に定期的に財産管理の報告をしなければいけなくなることがあります。また、法律専門職が後見人や監督人となった場合には報酬の支払いも発生します。このような負担感から、成年後見の申立を躊躇なさる方もいます。

 さて、このような現状がある中で、どのような理由、きっかけでこの制度を利用するようになるのでしょうか。例えば、親が施設に入るにあたって費用が必要になり、銀行の窓口で定期預金を解約しようとした場合、ご本人でなければ解約に応じられません、認知症なら成年後見制度を利用してくださいと、預金の解約を拒むことがあります。

 銀行で定期預金を解約できない!という状況になってやむを得ず、成年後見制度を利用するのです。しかし、上記に書かせていただいたように、国が想定しているわずか3%の方が実際にこの制度を利用しています。その方々の制度利用の負担感には大きなものがあります。周りの97%が制度を利用していないのに支障もなく生活しているように見えると、「どうしてうちだけが…」という印象をお持ちになる方がいます。

 このように、親族の気持ちと制度の運用との間にはギャップがあるようですが、制度の本来の目的は、判断能力の不十分な方々を保護し、支援するという大切な役割があり、実際に多くの方が悪徳商法などの被害から守られています。また、子の一人が親の財産を管理するにあったって、正式に裁判所の手続を通して成年後見人に選任され、裁判所の監督に服していた場合、その管理の仕方は適正なものになります。後日、その財産の管理の仕方について、他の子たちから疑問に思われたり、勝手に使ったのではないかと疑われる危険を避けることができるというメリットもあります。私が成年後見人として、また監督人としてご親族と話をさせていただく際には、ご親族のお気持ちを理解するように心がけて、その上で、制度の目的をご納得いただけるよう丁寧にご説明させていただいています。

 成年後見制度の利用をお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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